有病者が歯科治療を受けられる際の注意事項

有病者の歯科治療時の注意点

1)狭心症,心筋梗塞

  1. 初診日は、可能なら、内服薬のリストを用意してください。もしくは、薬を持参してください。
  2. 治療日は、内服薬を忘れずに服用してから、来院して下さい。
  3. 発作にそなえて、ニトロの錠剤かスプレーを忘れずに持参して下さい。
  4. 抗凝固薬(血が流れやすくする薬;パナルジン,小児用バファリン,ワーファリンなど)を内服している場合は、出血が問題となるので、申し出て下さい。
  5. 「心臓が悪いから。麻酔が出来ない」というのは、間違いです。麻酔は、上手に使えば、心臓に与える影響は少ないです。逆に、麻酔をせず、痛いほうが心臓に悪影響を及ぼすといわれています。安心して、来院してください。

2)高血圧

  1. 治療日は内服薬を忘れずに服用してから来院して下さい。
  2. 血圧が高いのに、内科で治療を受けておられない方へ。
    血圧の上昇により、脳出血をおこしたり、心筋梗塞をおこしたりすることがあります。歯科治療が緊張感、不安感をあたえることになり、普通の人でも血圧が上昇します。内科的治療を受けておられない方は、特に著しく変化することがあります。内科的治療を受けて、血圧をコントロールし、安全に歯科治療を受けましょう。
  3. 降圧薬の長期連用によって、歯肉が肥大してしまうことがあります。歯肉出血が気になる人は薬が原因の場合が考えられます。この副作用は、他の降圧薬に変更してもらうと緩解します。

3)脳梗塞、くも膜下出血、脳出血

  1. 抗凝固薬(血が流れやすくする薬;パナルジン,小児用バファリン,ワーファリンなど)を内服している場合は、出血が問題となるので、申し出て下さい。

4)甲状腺機能亢進症

  1. 内服により機能が正常化しているかどうか教えて下さい。麻酔が問題になります。

5)肝炎

  1. B型、C型肝炎の方は教えて下さい。肝炎ウイルス感染の予防対策が必要です。
  2. 肝機能が悪化していると、出血が止まりにくいときがあります。

6)薬アレルギー

  1. アレルギー(湿疹等)が出た薬の名前を教えて下さい。

7)糖尿病

  1. 内科でどのような治療を受けているか、教えてください。(食事療法,内服,インシュリンなど)
  2. 血糖値のコントロール状態を教えてください。
  3. 麻酔をすると、しばらく食事ができません。低血糖をおこさないように注意してください。(空腹時を避ける,ジュース,あめ等で糖分を取るなど)
  4. 感染しやすいです。抜歯などをしたら、必ず、処方された薬は、内服してください。

8)喘息

  1. 不安等の心理的因子や気道を刺激するような匂いで,治療中に発作を起す可能性があります。念のため、吸入薬は、忘れずに持参してください。また、喘息発作を頻回に起している時期は治療は避けたほうがよいかもしれません。
  2. アスピリン喘息の方は、歯科で投与する鎮痛剤で発作を起すことがあります。アスピリン、バファリン、ポンタール、ボルタレン、インダシン等の鎮痛剤は避けてください。
  3. 治療期間中は、内服薬を忘れずに服用してください。ステロイド剤を飲まれてる方は、特に忘れないようにしてください。

9)心疾患

  1. 弁膜症(僧帽弁、大動脈弁等の狭窄症と閉鎖不全症)、人工弁置換の手術を受けた方、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症、ファロー四徴症、大血管転位症などが含まれます。不整脈は別に説明します。
  2. 上記の方は、歯科治療が原因で、細菌性心内膜炎という病気になることがあります。この病気は、心臓の緊急手術が必要となることがあります。予防のためには、治療前に抗生物質の内服が必要です。
  3. 心内膜炎になるのが怖いから、歯科治療を受けないという考え方は間違いです。逆に、感染源が残ったままですので、いずれ心内膜炎を起してしまう可能性があります。弁膜症のある方は、特に感染源を無くするためにも歯科治療を受けてください。

10)不整脈、ペースメーカー

  1. 初診日は、可能なら、内服薬のリストを用意してください。もしくは、薬を持参してください。
  2. 治療日は、内服薬を忘れずに服用してから、来院して下さい。

11)胃、十二指腸潰瘍

  1. 歯科で使用する薬が胃腸障害の問題となります。副作用を防止するためには、服用時間をなるべく食後にしてください。食後以外に飲まれる時は、十分な量の水で服用するようにしてください。